桃の花さく やよい再生プロジェクト

 平成29年、やよい町内会は町内会創立20周年を迎え、年度初頭より記念事業部会を発足し、記念式典・祝賀会の開催、記念誌の発行と、記念年にふさわしい行事を執り行い、それは改めて町内の歴史を振り返る機会にも成りました。

 記念事業部会の中では、 それらの行事を実施していく過程の中で、ある町内の歴史の風景について議論が重ねられることがありました。議論の発端は、我が町内にある「山形市立第十小学校(※以下、十小)」の校歌、第1番の冒頭詞についてでありました。

「春は 輝く みちのくの 桃の 花さく 野を行けば」

 十小校歌には、創立年となった昭和40年前後の町内創生当時の原風景が歌詞の中に織り込まれており、この第1番の歌詞は、現世ですっかりその姿を消してしまったかつての田園風景の、とりわけ十小周辺で印象的に映えた「桃畑」を、象徴的風景として取り上げています。それは、現世の町内ではいにしえの姿をしのぶ内容と言え、現在の十小児童が校内生活をおくる中で、校歌で歌われる風景の実体験ができない環境下である点を、問題意識として持つようになりました。

 そこで、同部会の中で浮かび上がってきた着想がありました。

「町内会創立20周年の記念事業の一環として、十小に桃の木1本を記念植樹しよう」


 これが、本年度からスタートするプロジェクトの発端となった想いの姿でした。そして、このひとつの「桃の花」から、さらに発展的に新しい取組みの議論提案が重ねられていくようになっていきました。以後、十小側との意見協議も同時進行しながら、この新規企画提案をまとめ、本年度より発信するプロジェクトを『桃の花咲く やよい 再生プロジェクト』と題して、取り組んでいくこととなりました。

 本来、学校の「校歌」とは、自校の教育方針、校風、地域環境等を歌詞に表し、学び舎の一員である自覚と、伝統と誇りの実感を促し、自校の愛校心を象徴させる役割を担うものです。本プロジェクトは、この現況を踏まえ、町内、十小双方の前進が成し得る、教育題材的な取組みを行っていくという想いを持ちながら、目標実現に向けて進んで参ります。

書題字/佐藤 吉栄(2017年)

プロジェクトプラン①

十小を中心に町内で桃の植樹を行い「桃の花さく野」を復活させる


1.町内会創立20周年記念植樹として、花桃を十小に寄贈・植樹します。

「花桃」とは?

 桃は、食用の実桃と、花を楽しむための園芸種の花桃、この2種類に分けられます。花桃は、花を楽しむために品種改良された園芸種。ひな祭りのときに、ひな人形と一緒に飾ることで知られる。花桃にも実はなるが、とても小さくて食べることはできない。実桃の花は、その名の通り桃色(ピンク色)で桜や梅に似ているが、花桃の花は、それよりも大きく、八重桜と類似し、色は、桃色の他に白・赤などがある。立性と枝垂れ性に分けられる。(科名 : バラ科サクラ属、分類 : 落葉小高木、開花期 : 3~4月、原産国 : 中国)


2.町内世帯向けとして、花桃を鉢植えで育成します。

 町内会で、鉢植えの花桃を育成します。鉢植えの数が次第に増加するようになってから、希望制により全世帯向けの配布活動を行います。


プラン①の想い
町のシンボル=「桃の花」で覆われた町のイメージづくりを行っていく上で、町民全体で「町おこし」の意識、機運を高め合い、新しい連帯感を生み出していくことを目指します。

プロジェクトプラン②

桃の町が再生される姿を物語化し、町内会発信の児童への学習材料化に取り組む


1.オリジナル童話物語「桃の花さく野を行けば」を紙芝居として制作します。

 童話物語「桃の花さく野を行けば」は、実話を元にしたフィクションとして制作された新作品です。
□原作者:横尾和義さん(1区5班、防災部副部長)

□絵:小堀実穂さん(東北芸術工科大学卒、画家)

あらすじ:十小に入学した女子児童「やよい」が、校歌の歌詞にうたわれる「桃の花さく野」について浮かんだ疑問を、校長先生に質問することから物語は始まる。校歌の歌詞が、今やいにしえの姿を偲ぶものになっていることに寂しさを感じていたやよい。ある日、手に入れることが出来たひとつの桃の種から、かつて校歌でうたわれた風景が少しでも蘇ってくれるために、たったひとりだけのプロジェクトを起こすこととなった。毎日、忘れることなく水を与え、桃の観察を続けるやよい。日々の育成の甲斐があり、桃は在学中の6年間の中で、開花を果たし、立派な実を付けることとなってくれた。6年生になったやよいは、新しい決意を持つようになった。(※以降のあらすじの内容につきましては、完成の折のお楽しみとさせていただきます)


プラン②のねらいと期待できる効果

1.主人公やよいの、初志貫徹の姿勢への共鳴。

2.自校の実話が物語に含まれていることが親近感を呼び込み、自校の歴史への関心が促され、ひいては「愛校心」の芽生えとなっていく。

3.やよい町内会と十小との、新しい絆と交流のきっかけづくり。

新聞記事で紹介されました。(平成31年3月24日付 山形新聞)

紙芝居の原画展を文翔館を会場に開催(平成31年4月)