やよいの「花桃」と南三陸町の「椿」の物語

 2017年11月11日、霞城公民館3階講堂を会場に実施された第十地区市民運動推進協議会(門脇徹代表)主催の『やまがた地域防災講演会』にて、講師としてお招きした工藤 真弓さん(南三陸町・上山八幡宮禰宜、「つなみのえほん」作者)は、当町内会の横尾和義防災副部長(兼桃の花さくやよい再生プロジェクトリーダー)とは、共に東日本大震災の被災地の物語を原作とした絵本の作者というご縁で繋がる間柄になります。2015年3月、藤崎百貨店(仙台市)の催事場で開かれた「被災地から生まれた2冊の絵本展 〜マンホールのステージとつなみのえほん展」での企画開催が発端となり、以来共にそれぞれの活動を継続する中で交流と親睦を重ねてこられました。その縁がきっかけとなり、2017年の防災講演会で工藤真弓さんを講師として山形へお招きすることができました。

 講演会では、工藤さんより講演記念の印として、神社境内で育成されている「椿の苗木」を寄贈いただきました。この椿は、2011年3月11日に発生した東日本大震災の大津波で壊滅的被害にあった宮城県南三陸町志津川地区で、津波の塩害に負けずに生き残った椿であり、地元南三陸町志津川地区では、塩害に強い椿を震災復興のシンボルとして、「椿の避難路づくり」を始めプロジェクトを発足させ、復興の街づくりの整備の一助を担っています。寄贈いただいた貴重な椿は、現在も講演会の会場であった霞城公民館の敷地内南西角の花壇で、すくすくと育っています。

 門脇会長が代表を務める第十地区市民運動推進協議会では、この椿を東日本大震災の記憶の伝承と、防災の教訓のシンボルとして、長くこの池で成長してくれることを願い、植樹記念のプレートを設置しました。

 そして、この寄贈の返礼に、工藤真弓さんが禰宜を務められる上山八幡宮へ、やよいの「花桃の苗木」を贈呈することとなり、一昨年、門脇会長自らが現地に足を運び、神社へお届けすることができました。

 震災後の防災に取り組む活動が結んだ被災地との縁。

 私たちやよいと、南三陸町志津川地区には、そのような共に町のシンボルとしている「花」を介した縁が存在します。

 上山八幡宮は、鎌倉時代からの900年の歴史を数え、NHKの大晦日放映の番組では「伝承キリコ」が紹介されるなど、地元を代表する神社です。宮城県南三陸方面へお出かけの際には、ぜひ神社への参拝と、やよいの花桃の成長をご覧になってきてください。


※左写真は工藤真弓さんとやよいの花桃の苗木/上山八幡宮にて 2020年撮影

上山八幡宮と「つなみのえほん」

上山八幡宮(かみのやま はちまんぐう)

〒986-0700 宮城県本吉郡南三陸町志津川字上の山27番の2


工藤真弓さん原作・絵「つなみのえほん」

この絵本は、2011年3月11日の震災発生直後、体育館での避難所生活となった工藤さんが、深夜、周囲の皆が寝静まった頃、懐中電灯を灯しながら支給品の画用紙と色鉛筆を使用し書き上げた絵本です。2012年5月に全国発売され、現在も全国で震災の記憶の伝承本として広く読み語りされています。

絵本は山形市立図書館にも寄贈されています。